昭和48年改正(5万円年金)賃金再評価・物価スライド制

我が国は急速に高齢化社会を迎えようとしていましたが、引き続き核家族化の進展や扶養意識の変化などにより高齢者を取り巻く環境は著しく変化しつつありました。 そのため、老後の所得保障の問題に対する国民の関心はかつてないほど高まっていました。

 

また、経済の高度成長に伴い物価水準等が上昇していく中で、年金給付の 実質価値の低下が問題となっていました。 このような社会状況の中で、昭和 48 年改正により、賃金再評価・物価スライ ドの仕組みが、厚生年金、国民年金に組み込まれることとなりました。

 

また、厚生年金の給付水準は、現役の厚生年金被保険者の平均賃金の 60%程度の水準を目標とする考え方で設定され、その結果、標準的なケースでの年金月額は5万円程度とされました。国民年金においても、標準的な年金月額が2万5千円程度(夫婦で5万 円程度)となるような給付水準に改められた。

 

 

余談ですが、今でも公的年金の窓口相談業務等で、だいたい年金額が60%と言われる方が多い所以に感じていました。ちょうど今老齢年金請求される方のお父様、お母様世代から聞かれていたのかもしれません。

 

老齢年金の基本設計(昭和 48 年改正)

 

国民年金;年金額=加入年数×9,600 円

 

厚生年金;年金額=平均標準報酬月額(再評価後)×10/1000×加入月数+1,000 円×加入月数

 

 

賃金再評価・物価スライドの仕組みが導入されたことから、保険料設定に際し ては、従来のような物価、賃金の上昇を織り込まない静態的な見通しではなく、 経済的変動を織り込んだ動態的な将来の収支見通しを用いるようになりまし。またこれに伴い、昭和 48 年以降の財政再計算では、収支見通しの基礎となる将来の被保険者数見通しは人口問題研究所(現 国立社会保障・人口問題研究所)の将来推計人口に基づいて設定されるようになりました。なお、従来どおりの静態的な計算に 基づく平準保険料についても、参考として引き続き算出されました。 

 

 

 

 

 

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