戦後の保険料率引き下げ

当時の厚生年金制度には賃金再評価・物価スライドの仕組みが組み込まれていなかったため、戦後の急速なインフレにより、給付の実質価値が大幅に低下して しまいました。

 

このため、昭和 23 年改正においてインフレに対応するため、当時既に 支給の始まっていた障害年金について大幅な給付増額が行われました。

 

一方、この改正で、保険料負担については、戦後の混乱期における被保険者と 事業主の負担能力を考慮し、保険料率を月収の3%(坑内員は 3.5%)に引き下げられました。

 

当時は平準保険料を念頭において財政運営がなされており、当時計算され た平準保険料率は、男子 9.4%、女子 5.5%、坑内員 12.3%であったことから、 引き下げられた保険料率は暫定的なものとされました。

 

このように、急速なインフレにより積立金の実質価値が大幅に低下したことと、 保険料を大幅に引き下げたことにより、これ以後、厚生年金は、実質的には賦課 方式を基本とした制度となったと考えることもできます。 

 

 

 

 

戻る