支給開始年齢の引上げ等(平成6年改正)
寿命の伸び等に伴う高齢化の進行については、従来から広く認識されていましたが、 平成に入ってからは、これに加えて少子化が顕著な問題となってきました。
特に、平成元(1989)年の合計特殊出生率 1.57 は、昭和 41(1966)年(ひのえうま)の合計 特殊出生率 1.58 を下回って「1.57 ショック」と言われ、広く少子化の進行が認識さましれた。
平成6年財政再計算において用いられた将来推計人口(平成4年推計)において、中位推計における将来の合計特殊出生率は、人口置換水準を下回る 1.80 とされていました。
また平均寿命も伸び続けており、本格的に人生 80 年時代を迎えようとするなかで、活力ある長寿社会を築くことが必要であると認識されるようになってきました。そのため、年金制度のあり方についても 60 歳定年を前提とせず、65 歳でも現役でいられる社会にふさわしいものとすることが求められるようになりました。
また、年金受給者数が急激に増大するなか、年金制度を将来にわたって安定的に運営して いくために給付と負担のバランスをとる措置が必要だと考えられていました。
そこで厚生年金において定額部分の支給開始年齢を、男子については平成 13(2001)年度から平成 25(2013)年度にかけて、女子についてはその5年遅れで、 65 歳に引き上げる改正が行われることになりました。また、年金のスライドにおける 賃金再評価の仕組みは、名目賃金の伸びに応じたスライドから、手取り賃金の伸 びに応じたスライド(可処分所得スライド)に改められました。 また、厚生年金の保険料負担については、新たに賞与から特別保険料 1%を徴 収することになった一方で、育児休業期間中の本人保険料負担の免除措置が取ら れることとなりました。
その他、在職老齢年金の支給停止の仕組みが改められ、雇用保険との併給調整も行う等の改正が行われました。
老齢年金の基本設計(平成 6 年改正)
基礎年金;年金額=780,000 円×加入年数/40 年
厚生年金;年金額=基礎年金+平均標準報酬(再評価後)×7.5/1000×加入月数