基礎年金制度の導入
国民年金法の制定により国民皆年金が実現されて以来、経済の成長に合わせて 年金給付水準が引き上げられてきて、我が国の年金の給付水準は国際的にも遜色 ないものとなりました。
我が国の人口構造が先進諸国に例をみない速さで高齢化が進 むなか、年金制度は国民生活に大きな影響を与えるようになってきました。
一方、当時我が国の公的年金制度は、様々な歴史的背景から、職域により国民 年金、厚生年金、共済年金に分立し、それぞれ独自の運営をしていた。高齢化の 進展に伴い受給者数が増大する一方で、産業構造の変化等により制度間の被保険者の移動が起こったことで、被保険者の減尐した制度では財政が不安定となり、 制度間の給付水準・負担水準の格差が広がるとの問題が生じてきました。
そこで、年金制度が産業構造の変化等の影響を受けず安定的に運営できるよう にするため、1階部分として全国民共通の基礎年金制度を導入し、被用者につい ては、厚生年金、共済年金が上乗せの給付(2階部分)を行うという2階建ての 制度に再編されることとなりました。
この改正により、全国民共通の基礎年金給付のための費用は、20 歳から 59 歳 までの全国民の頭割りの考え方で算出され、各制度が負担する拠出金(基礎年金 拠出金)で賄うこととされ、1階部分は産業構造の変化の影響を受けない制度と なりました。これに伴って国庫負担は原則として基礎年金部分に集中することとされ、 各制度が負担する基礎年金拠出金に対してその3分の1の国庫負担がなされるこ ととなりました。また、それまで被用者の被扶養配偶者は国民年金に任意加入とされていたが、基礎年金を全国民共通のものとする考え方に沿って、第3号被保険者 として国民年金に適用され、本人の保険料負担はないが配偶者の加入する被用者年金制度が拠出金を負担することにより基礎年金の給付を受けることができることとなりました。
老齢年金の基本設計(昭和 60 年改正)
基礎年金;年金額=600,000 円×加入年数/40 年
厚生年金;年金額=基礎年金+平均標準報酬(再評価後)×7.5/1000×加入月数