血液・造血器による障害

平成29年12月基準変更の為、現在ホームページ修正中です。

 

主要症状

 

顔面蒼白  易疲労感  動悸  息切れ  頭痛  めまい  知覚異常
出血傾向  骨痛  関節痛等の自覚症状  発熱  黄疸  心雑音  
舌の異常  感染  出血斑  リンパ節腫大  血栓


1 認定基準

血液・造血器疾患による障害の程度は、自覚症状、他覚所見、検査成績、一般状態、治療及び症状の経過等(薬物療法による症状の消長の他、薬物療法に伴う合併症等)、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定するものとし、当該疾病の認定の時期以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものであって、長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものを1級に、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを2級に、また、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものを3級に該当するものと認定する。

認定要領

 

(1) 血液・造血器疾患は、臨床像から血液・造血器疾患を次のように大別する。

ア 赤血球系・造血不全疾患(再生不良性貧血、溶血性貧血等)

イ 血栓・止血疾患(血小板減少性紫斑病、凝固因子欠乏症等)

ウ 白血球系・造血器腫瘍疾患(白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫等)

 

(2) 血液・造血器疾患の主要症状としては、顔面蒼白、易疲労感、動悸、息切れ、発熱、頭痛、めまい、知覚異常、紫斑、月経過多、骨痛、関節痛等の自覚症状、黄疸、心雑音、舌の異常、易感染性、出血傾向、血栓傾向、リンパ節腫脹、肝腫、脾腫等の他覚所見がある。 

 

(3) 検査としては、血球算定検査、血液生化学検査、免疫学的検査、鉄代謝検査、骨髄穿刺、リンパ節生検、骨髄生検、凝固系検査、染色体検査、遺伝子検査、細胞表面抗原検査、画像検査(CT検査・超音波検査など)等がある。


(4) 血液一般検査での検査項目及び異常値の一部を示すと次のとおりである。

区分

検査項目

単位

軽度異常

中等度異常

高度異常

抹消血液

ヘモグロビン濃度

g/dl

9~10

7~9

7未満

赤血球数

/μl

300350

200300

200未満

白血球数

/μl

20004000

10002000

1000未満

顆粒球数

/μl

10002000

5001000

500未満

リンパ球数

/μl

6001000

300600

300未満

血小板数

/μl

5~10

2~5

2未満

骨髄

有核細胞

/μl

5~10

2~5

2未満

巨核球数

/μl

3050

1530

15未満

リンパ球

2040

4060

60以上

出血時間(Duke)

6~8

8~10

10以上

APTT(基準値)

基準値の1.5倍~2倍

基準値の2倍~3倍

基準値の3倍以上

 

(5) 個別の各疾患に用いる検査法は、それぞれ異なっており、さらに、前記(4)に示した検査項目の他にも免疫学的検査を中心にした様々な特殊検査があり、診断、治療法は日々進歩している。
さらに、血液・造血器疾患の病態は、各疾患による差異に加え、個人差も大きく現れ、病態も様々である。
したがって、検査成績のみをもって障害の程度を認定することなく、認定時の具体的な日常生活状況等を把握して、総合的に認定する。


(6) 血液・造血器疾患による障害の程度を一般状態区分表で示すと次のとおりである。


一般状態区分表

難治性貧血群

主な傷病


再生不良性貧血  溶血性貧血

区分

臨 床 所 見

1 治療により貧血改善はやや認められるが、なお高度の貧血、出血傾向、易感染性を示すもの
2 輸血をひんぱんに必要とするもの

1 治療により貧血改善はやや認められるが、なお中度の貧血、出血傾向、易感染性を示すもの
2 輸血を時々必要とするもの

1 治療により貧血改善は少し認められるが、なお軽度の貧血、出血傾向、易感染性を示すもの
2 輸血を必要に応じて行うもの

   


区分

検 査 所 見

1 末梢血液中の赤血球像で、次のいずれかに該当するもの   
  (1) ヘモグロビン濃度が7.0g/dl未満のもの   
  (2) 赤血球数が200/μl未満のもの
2 末梢血液中の白血球像で、次のいずれかに該当するもの   
  (1) 白血球数が1000/μl未満のもの   
  (2) 顆粒球数が500/μl未満のもの
3 末梢血液中の血小板数が2万/μl未満のもの
4 骨髄像で、次のいずれかに該当するもの   
  (1) 有核細胞が2万/μl未満のもの   
  (2) 巨核球数が15/μl未満のもの   
  (3) リンパ球が60%以上のもの   
  (4) 赤芽球が5%未満のもの

1 末梢血液中の赤血球像で、次のいずれかに該当するもの    
  (1) ヘモグロビン濃度が7.0g/dl以上9.0g/dl未満のもの   
  (2) 赤血球数が200/μl以上300/μl未満のもの
2 末梢血液中の白血球像で、次のいずれかに該当するもの    
  (1) 白血球数が1000/μl以上2000/μl未満のもの   
  (2) 顆粒球数が500/μl以上1000/μl未満のもの
3 末梢血液中の血小板数が2万/μl以上5万/μl未満のもの
4 骨髄像で、次のいずれかに該当するもの   
  (1) 有核細胞が2/μl以上5/μl未満のもの   
  (2) 巨核球数が15/μl以上30/μl未満のもの   
  (3) リンパ球が40%以上60%未満のもの   
  (4) 赤芽球が5%以上10%未満のもの

 

 

1 末梢血液中の赤血球像で、次のいずれかに該当するもの   
  (1) ヘモグロビン濃度が9.0g/dl以上10.0g/dl未満のもの    
  (2) 赤血球数が300/μl以上350/μl未満のもの
2 末梢血液中の白血球像で、次のいずれかに該当するもの   
  (1) 白血球数が2000/μl以上4000/μl未満のもの   
  (2) 顆粒球数が1000/μl以上2000/μl未満のもの
3 末梢血液中の血小板数が5万/μl以上10/μl未満のもの
4 骨髄像で、次のいずれかに該当するもの   
  (1) 有核細胞が5万/μl以上10/μl未満のもの   
  (2) 巨核球数が30/μl以上50/μl未満のもの   
  (3) リンパ球が20%以上40%未満のもの   
  (4) 赤芽球が10%以上15%未満のもの

   


出血傾向群

主な傷病


血小板減少性紫斑病  凝固因子欠乏症

A表

区分

臨 床 所 見

1 高度の出血傾向又は関節症状のあるもの
2 凝固因子製剤をひんぱんに輸注しているもの

1 中等度の出血傾向又は関節症状のあるもの
2 凝固因子製剤を時々輸注しているもの

1 中等度の出血傾向又は関節症状のあるもの
2 凝固因子製剤を時々輸注しているもの

   


B表

区分

検 査 所 見

1 出血時間(デューク法)が10分以上のもの
2 APTTが基準値の3倍上のもの
3 血小板数が2万/μl未満のもの

1 出血時間(デューク法)が8分以上10分未満のもの
2 APTTが基準値の2倍以上3倍未満のもの
3 血小板数が2万/μl以上5万/未満のもの

1 出血時間(デューク法)が6分以上8分未満のもの
2 APTTが基準値の1.5倍以上2倍未満のもの
3 血小板数が5万/μl以上10万/未満のもの

   


白血球系・造血器腫瘍疾患

主な傷病

 

白血病  悪性リンパ腫  多発性骨髄腫等

A表

区分

臨 床 所 見

1 発熱、骨・関節痛、るい痩、貧血、出血傾向、リンパ節腫脹、易感染性、肝脾腫などの著しいもの
2 輸血をひんぱんに必要とするもの
3 治療に反応せず進行するもの

1 発熱、骨・関節痛、るい痩、貧血、出血傾向、リンパ節腫脹、易感染性、肝脾腫などのあるもの。
2 輸血を時々必要とするもの
3 継続的な治療が必要なもの

1 継続的ではないが治療が必要なもの

 
   

(注1)A表に掲げる治療とは、疾病に対する治療であり、輸血などの主要な症状を軽減するための治療(対症療法)は含まない。

(注2)A表に掲げる治療に伴う副作用による障害がある場合は、その程度に応じて、A表の区分を以上とする(Common Terminology Criteria for Adverse Events (CT

CAE)のグレード2以上の程度を参考とする。)。

 

 

B表

区分

検 査 所 見

 1 末梢血液中のヘモグロビン濃度が 7.0g/dL 未満のもの
 2 末梢血液中の血小板数が 2 万/μL 未満のもの
 3 末梢血液中の正常好中球数が 500μL 未満のもの
 4 末梢血液中の正常リンパ球数が 300μL 未満のもの

 1 末梢血液中のヘモグロビン濃度が 7.0g/dL 以上 9.0g/dL 未満のもの
 2 末梢血液中の血小板数が 2 万/μL 以上 5 万/μL 未満のもの
 3 末梢血液中の正常好中球数が 500μL 以上 1,000μL 未満のもの
 4 末梢血液中の正常リンパ球数が 300μL 以上 600μL 未満のもの

 

   末梢血液中のヘモグロビン濃度が 9.0g/dL 以上 10.0g/dL 未満のもの

   末梢血液中の血小板数が 5 万/μL 以上 10 万/μL 未満のもの

   末梢血液中の正常好中球数が 1,000μL 以上 2,000μL 未満のもの

4 末梢血液中の正常リンパ球が 600μL 以上 1,000μL 未満のもの

 
   

 

(1)  検査成績は、その性質上変動しやすいものであるので、血液・造血器疾患による障害の程度の判定に当たっては、最も適切に病状をあらわしていると思われる検査成績に基づいて行うものとする。

 

特に、輸血や補充療法により検査数値が一時的に改善する場合は、治療前の検査成績に基づいて行うものとする。

 

    

(2)  血液・造血器疾患の病態は、各疾患による差異に加え、個人差も大きく現れ、病態によって生じる臨床所見、検査所見も、また様々なので、認定に当たっては前記(5)のA表及びB表によるほか、他の一般検査、特殊検査及び画像診断等の検査成績、病理組織及び細胞所見、合併症の有無とその程度、治療及び病状の経過等を参考とし、認定時の具体的な日常生活状況等を把握して、総合的に認定する。

 

 

(3)  造血幹細胞移植の取扱い

 

   造血幹細胞移植を受けたものに係る障害認定に当たっては、術後の症状、移植片対宿主病(GVHD)の有無及びその程度、治療経過、検査成績及び予後等を十分に考慮して総合的に認定する。

   慢性GVHDについては、日本造血細胞移植学会(ガイドライン委員会)において作成された「造血細胞移植ガイドライン」における慢性GVHDの臓器別スコア及び重症度分類を参考にして、認定時の具体的な日常生活状況を把握し、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に認定する。

 

障害年金を支給されている者が造血幹細胞移植を受けた場合は、移植片が生着し、安定的に機能するまでの間を考慮して術後 1 年間は従前の等級とする。