社会的治癒の考え方

よく「社会的治癒」という言葉を障害年金請求の際に、社会保険労務士のホームページ等で好意的なイメージで紹介されていますが・・・

 

社会的治癒とは、医療を行う必要がなくなって社会復帰していることを言います。

 

症状が安定して特段の療養の必要もなく、長期的に自覚症状や他覚症状に異常が見られず、通常の日常生活や労働ができている期間がある場合に「社会的的治癒」とされます。

 

ただし、通達では、「薬治下又は療養所内にいるときは、一般社会における労働に従事している状態にある場合」でも、治療の必要がありながら経済的理由により医療を受けない場合も社会的治癒とは認められないとされています。

 

起因する疾病があっても社会的治癒が認められる場合は、その後に初めて医師の診断を受けた日を初診日とします。

 

具体的には、以下の要件をすべて満たした場合は、社会的治癒と認められ、新たに発症したものとして取り扱われます。

 

① 症状が固定し、医療を行う必要がなくなったこと

② 長期にわたり自覚症状にも他覚症状にも病変や異常が認められないこと

③ 一定の期間、普通に生活または就労をしていること

 

 

ただ実務上はなかなか簡単な話ではなく、非常に難しいです。(おおよその目安はありますが・・・)

 

 

事例を紹介したいと思います。

 

 

例1)大学3年生の時うつ病と診断され受診していたが、次第に状態が回復し、一年通院していたが医師の判断で通院も必要なくなり、卒業後は一般の会社員として10年間勤務していて何らその間も問題なかった。

 

その後転勤で地元を離れ、慣れない土地、今までと担当したことのない部署、また直属上司と合わないことを日々悩み、しばらくして、眠れない、頭痛が酷い等で医療機関受診した場合等は学生時代の受診を初診日としてではなく、社会的治癒を主張し転勤後、体調不良の為受診した医院が初診日として考えられます。

 

この場合は、国民年金ではなく厚生年金での請求となり、厚生年金は3級(国民年金は1、2級のみ)から等級がある。また同じ2級でも受給金額が大きく違うので、認定されれば障害年金のことを考えれば社会的治癒が有利になるケースと考えられます。

次に不利にはたらくケースですが

 

 

例2)会社員時代不眠、頭痛、めまいで2回医療機関受診しうつ状態等の診断だったが、休職の後、暗に会社より退職を促され退職。実家に戻りその後は体調は回復はしないが、自宅に閉じこもる日々が続いた。4年間は受診していなかった。その後将来への不安等から思い悩む事が多くなり、見かねた両親に促され、心療内科受診。その後益々体調が悪化したため、入院加療。障害年金制度を知り、障害厚生年金請求も、審査で、社会的治癒と判断され退職後の国民年金加入中が初診日となった。

 

 

通院を自己判断にて中断でも、社会的治癒となるケースも稀にあります。

 

 

ご自身の判断と異なる場合も多々あります。

最低限病歴申立書等は慎重に作成する必要があります。